那須 剣が峰(1799m)、スダレ山(1880m)、前岳(1702m)、赤顔山(1701m)、隠居倉 (1819m) 2010年11月20日

所要時間 6:30 駐車場−−7:05 峰の茶屋−−7:15 剣が峰 7:17−−7:22 登山道−−8:09 清水平−−8:11 登山道を離れる−−8:16 スダレ山−−8:22 登山道−−8:51 前岳−−9:10 赤顔山 9:44−−10:05 前岳−−11:09 熊見曽根−−11:27 隠居倉 11:52−−12:13 熊見曽根−−12:37 峰の茶屋−−13:01 駐車場

概要
 元那須高原有料道路終点駐車場から赤顔山を往復。剣が峰は南北に縦走したが道は無いが特に危険箇所はなく問題無し。スダレ山は登山道が通っていないので南西側から藪漕ぎ。石楠花、ハイマツ、潅木、笹の混合藪でかなり濃い。清水平から赤顔山までは登山道あり。熊見曽根〜隠居倉間も立派な登山道あり。



 那須は何回かに分けて主要なピークは踏んでいるが、主稜線から離れた山や登山道が巻いている剣が峰は未踏である。また、山名事典記載の山も未踏で、標高が1900m近い山がいくつも集中している美味しい領域だ。冬場は道路が通行止めになってしまうのでその前に片付けることにした。

 黒磯PA(板室スマートIC)で仮眠したが駐車場が狭く大型車駐車場と接近し、アイドリングしたまま仮眠中の大型トラックの騒音で安眠できなかったのは失敗だった。5時過ぎに動き出して那須ICで降り、あとは案内標識に従って上がっていくだけだ。有料道路は昨年に無料化されたのは知っていたが夜間でも通行可能なのかまでは知らず、ちょっと心配しながら進んだが特に車止めはなかったので今は24時間通行可能なのかもしれない。20年近く前は時間制限があったのはよく覚えている。道路を上がってロープウェイが近づくと路側に雪が見られるようになり、この辺りは既に降雪があったらしい。でも雪が残るのは路側の一部だけで路上や終点の駐車場には雪はなかった。でも下界で冷たい雨が降るともう雪だな。

旧有料道路終点の駐車場 駐車場から見た朝日岳
駐車場でも雪があった 登山口

 まだ暗い駐車場には既に数台の車が活動開始中でザックをパッキング中の姿もあった。こちらはまず朝飯を食い、準備を済ませて出発。木が無い茶臼岳の山肌にはうっすらと雪が付いているが、荒々しい朝日岳の南斜面には全く雪が無い。登山道を上がって茶臼岳北斜面に入ると残雪が目立つようになり、たくさんの人に踏まれて固まり氷となっている箇所もあった。まだ量は僅かで長続きしないのでアイゼンは不要だが、まとまった降雪があったらアイゼンの出番かもしれない。

茶臼岳北斜面を緩やかに登る 鞍部が見えてきた
もうすぐ鞍部 峰の茶屋の避難小屋
峰の茶屋から見た茶臼岳
峰の茶屋から見た剣が峰 剣が峰巻道入口の案内

 峰の茶屋までは西風が吹いている場合は前に進めないようなとんでもない強風帯だが、今日は穏やかな日で淡々と高度を上げて峠に到着。たぶん昔は茶屋だった建物は今は避難小屋となっていた。ここから剣が峰は登山道を外れて稜線を歩くため、人の目がある場合は剣が峰の裏側に回りこんでから尾根を歩こうかと考えていたが、まだ朝早い時刻で他に人の姿は無く、そのまま尾根に取り付いた。

剣が峰へと尾根を登る 岩があるが急ではない

 尾根は樹木は無く遠くからも姿は丸見えだが、藪も皆無なので自由気ままに歩きやすいところを選んで登っていけた。崖もあるが右手から迂回可能でうっすらと踏跡も見られ、石の上にはアイゼンの傷跡も見られたので稜線上は積雪期のルートとして使われているようだ。

傾斜が緩む 剣が峰山頂
3D標識。微妙に山名が異なる 栃木の山紀行の標識
剣が峰から見た南〜西
剣が峰から見た会津駒周辺

 傾斜が緩むと岩っぽさも消え普通の尾根歩きとなり、なだらかに進んで一番高そうな場所には3D標識と栃木の山紀行の2つの山頂標識が低木にくくりつけられていた。高い木は皆無なので展望がいいが、残念ながら空気の透明度がイマイチで白い会津駒付近までしか見渡すことができなかった。

剣が峰から北に下り始める 潅木が消えると裸の尾根
岩の東側を下った 登山道から剣が峰北尾根を見上げる

 稜線北側は降りられるような地形なのか不明だったが、少しザレて傾斜はあるが問題なく下れる場所で、途中に大きく尖った巨岩が尾根を塞いでいるが東側から簡単に巻けた。こちら側から登る方が登山道から山頂までの距離が短く、南から登るよりいいかもしれない。

茶臼岳と剣が峰 朝日岳分岐標識。エビの尻尾ができていた
朝日岳分岐から見た北側
1900m峰から見た三本槍岳〜赤面山

 登山道は切り立った稜線を避けて西側を巻くようになり、所々凍結しているがノーアイゼンでもまだ支障はなかった。アイゼンが必要になる頃には道路の方が冬季通行止めになっているだろうな。鎖もあるが出番は無く、観光客向けのような道であった。トラバースが終わると朝日岳分岐で、山頂まで僅かな距離であるが既に登ったピークなのでパスし、まずは赤面山を目指す。熊見曽根のピークはいつのまにか巻いてしまい次の1900mピークに出た。

清水平の木道 赤面山方面分岐

 ここからは土が後退してハードル状になった木の階段を下って木道が設置された清水平へ。霜で真っ白になった少し傾いた木道は滑らないかドキドキしながら通過する。もっと傾斜があったら確実にコケそうだ。

 三本槍岳へ向かう登山道は1880m峰(スダレ山)を巻いてしまうので、適当な場所で登山道を外れて山頂を目指す必要があるが、植生は予想通りにハイマツ、石楠花、潅木、笹の低い藪で、薄く雪が乗っているのがイヤらしい。赤面山分岐付近では山頂に向かう踏跡は無く、まずは三本槍岳へと進んでいく。途中、登山道上に真っ白な野兎が登場。普通はそれこそ「脱兎のごとく」逃げるのだが、この兎は人馴れしているのか少し立ちどっまってから方向転換し、ゆっくりと走り去っていった。藪の中に逃げられたら人間が追いかけるのは難しいので兎も悠長なのだろうか。

登山道最高点から藪に突入 ハイマツ、石楠花、潅木、笹の斜面を登る

 登山道の最高地点で僅かな踏跡を発見、スダレ山へと方向を変えた。これで山頂まで楽勝かと思ったが、数10mで踏跡は消えて一面の藪になってしまった。こうなれば藪を分けて適当に山頂目指すしかなく、藪が薄くて雪も少ない場所を選んで突進していく。藪の高さは腰から胸程度なので視界が確保されるのは助かるが、藪の主要要素が笹ではなく木なので抵抗が大きい。特にツツジのような潅木が手ごわく、こいつは地面から四方八方に枝分かれして枝が固く、手で掻き分けるのはもちろん体ごと突っ込んでも跳ね返される。できるだけ笹が多い場所を選んでジグザグに登ったが、笹は濡れているのでズボンが結構濡れてしまった。やがて沢が流れたような一筋の藪が無いルートが登場、少しの間楽させてもらった。

スダレ山からの展望(クリックで拡大)

 山頂直下で再び藪と格闘し、とうとう最高点に到着した。山名事典にしか山頂名が書かれていない山なので目印も山頂標識も無い。山頂付近は僅かに藪が薄くなり低いハイマツに覆われていて今までの藪よりマシだが地面が出ているところはなかった。まあ、ほとんど登る人はいないだろうからしょうがない。帰りは適当に下ったが、踏跡を外してしまって最後まで藪漕ぎだった。

スダレ山直下から見た会津駒〜越後駒(クリックで拡大)
中の大倉尾根&赤面山方面分岐 スダレ山東へ登る
1860m肩から見た朝日岳 中の大倉尾根/赤顔山分岐
分岐から見た赤面山 水場

 清水平に戻って赤面山を目指す。こちらの雪の上には人の足跡はなく兎の足跡だけであった。今度はずっと登山道があるはずで藪の心配はないが道の整備状況が気がかりだ。刈払いが不十分な場合、今の時間では霜が溶けて濡れた藪が待っているのでイヤらしい。標高1800mで中の大倉尾根と赤面山の分岐が登場、幸い、赤面山方向の登山道もしっかりと刈り払いされていて一安心。この高さになると周囲はほとんど笹で、道が無いとこんな斜面をトラバースするのは困難だろう。小さな谷を突っ切るところで「水場 10m」の標識があり、僅かに水が滴り落ちていた。塩ビパイプでも設置すれば水を得やすいのだが。

前岳山頂 前岳から見たスダレ山

 トラバースが終わると前岳の小さなピークで、登山道は僅かに南を巻いているので少しだけハイマツを漕いで最高点へ。ここは地形図に山名が出ているが標識はなかった。

鞍部から見た赤面山 赤面山山頂
赤面山から見たスダレ山 赤面山から見た会津布引山の風車
赤面山から見た茶臼岳〜大白森山

 緩やかに下って登り返し、藪が途切れて砂礫が広がるピークが赤面山山頂だった。こちらは立派な山頂標識に展望盤まであり、前山とは扱いが大きく違った。蔵王や飯豊も見えるそうだが今日は空気の透明度が悪くて北方面は磐梯山さえ見えなかった。ここでしばし休憩。ここからは逆戻りして隠居倉に立ち寄るだけだ。

清水平から見た1900m峰 1900m峰へ登る
エビのしっぽがまだ溶けない 朝日岳山頂に立つ登山者
隠居倉分岐から見た朝日岳、茶臼岳
隠居倉分岐から見た隠居倉、三本槍岳

 清水平に戻ると行きと違って登山者の姿が多い。当然ながら三本槍岳が目的地だろう。1900m峰を越えて熊見曽根から西の尾根に入り下り始める。こちらには足跡があり、本日下った人がいるようだった。こちらの登山道も良く整備されて体に触れる藪は皆無で気持ちよく歩けた。この尾根も植生は低木なので展望は良かった。

隠居倉に向かう 隠居倉山頂
隠居倉から見た剣が峰 隠居倉から見た茶臼岳
隠居倉から見た三本槍岳〜茶臼岳

 隠居倉山頂は大きなケルンが設置され、周囲は藪が切れてベンチが設置されていた。日当たりが良くて気持ちのいい場所で、どうせ誰も来ないだろうとベンチの一つを占領して横になったら寝てしまった。今日は明け方は-4℃まで気温が下がっていたが日中は風も弱く日差しもあって防寒着を着ていれば体感温度は快適に近い感じだった。

 熊見曽根への登りでは2パーティー5人が下ってきた。稜線に出ると再び人で賑わう場所だ。お昼だがこれから三本槍岳へ向かう人も多い。通常の登山の格好の人が大半だが観光客に近いようなスニーカーで登ってくる男性もいた。若干雪があるのでこれだと靴の中が濡れてしまうかも。やっぱりここは観光地だ。

茶臼岳の噴気 駐車場に戻る

 峰の茶屋に到着すると茶臼岳から続々と下ってくる人の姿が。ロープウェイで登って下りは歩きの人だろうか。登山道北側の谷に建設された砂防ダムの1つに人間の姿があったが何をやっていたのだろうか。そのパーティーは3人組で途中から登山道に合流してきたが、なぜかザイルにメット、金具類とクライミングの装備を持っていた。まさか朝日岳南斜面で岩登り??

 駐車場に戻ると車は増えていたがシーズンも終わりに近く埋まり方は5割以下だった。昨日の黒磯PAはトラックの騒音で熟睡できなかったので少し寝ようと思ったが、この時間になって日が陰ってしまい今度は寒くて寝られなかった。

 

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